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2010-10-06から1日間の記事一覧

馬場あき子 短歌

厚顔と偽善と怯懦の真ん中に、廉潔と誠実と果敢の遠弓を射込むような馬場あき子の短歌。彼女の定型は、日本語にとっては自由律などというものがだらしなさの美名でしかないことの証明である。 ・母の齢はるかに越えて結う髪や流離に向かう朝のごときか (飛…

小川洋子 『猫を抱いて象と泳ぐ』(文芸春秋)

読み終えて数日経つと、夢のシーンの連続であったような、残酷だが穢されてはいないチェスをめぐる不思議な物語が、読んだ人のなかにもう一度染みわたってくる。 p154 チェスの終盤が近づくと、達者なルークづかいのお転婆だった令嬢の動きが少しずつしとや…