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シュテファン・ツヴァイク

シュテファン・ツヴァイク 『ジョゼフ・フーシェ』(岩波文庫)2/2

p329-32 1815年、エルバ島を脱出しパリに凱旋した「100日天下」当時のナポレオンは、運命の回り合わせで名前だけが皇帝であったにすぎなかった。しかるに彼の傍らにいるフーシェは、まさにこの時代こそ、あぶらの乗った最中だった。刀のように鋭い切れ味を…

シュテファン・ツヴァイク 『ジョゼフ・フーシェ』(岩波文庫)1/2

大革命時代のフランスに興味のある人ならジョゼフ・フーシェという名前は聞いたことがあるかもしれない。あるいはタレーランやメッテルニヒといった一筋縄ではとてもくくれない権謀術数の外交家にちかい人物ではなかったかと、それくらいのぼんやりした記憶…

シュテファン・ツヴァイク 『三人の巨匠』(みすず書房)2/2

ディケンズ ディケンズの作品は伝統の中に安住しようとする イギリス国民の無意識の意志が芸術と化したものである p59-61 イギリスという国の伝統は、フランスがフランス人に対するよりも、ドイツがドイツ人に対するよりも、微細な血管の網目をとおして、あ…

シュテファン・ツヴァイク 『三人の巨匠』(みすず書房)1/2

バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーという19世紀の大文豪三人について、その人となりや作品について、それぞれ50~100ページで簡潔にまとめて一冊にしたもの。本としては最後にモンテーニュもおまけとしてついている。 「評伝のツヴァイク」ら…

シュテファン・ツヴァイク 『マリー・アントワネット』(岩波文庫)

ナチスドイツによって永遠に葬り去られた古きよきヨーロッパ。社会上層の教養主義がまだ本来の意味で生きていた時代への愛惜を、ツヴァイクは脱出先の南米のホテルで何の資料も持たずに、ただ驚くべき記憶力だけを頼りに、『昨日の時代』として一気に書き上…

シュテファン・ツヴァイク 『昨日の世界]』(みすず書房)2/2

p359 第一次大戦の頃は、言葉はまだ力をもっていた。まだ言葉は、「宣伝」という組織化された虚偽によって死滅するほど酷使されてはいなかった。人々はまだ良心によって書かれた言葉を待っていた。 ロマン・ロランの『戦いを超えて』のような小さな論文、バ…

シュテファン・ツヴァイク 『昨日の世界』(みすず書房)1/2

ヒトラーによる世界破壊の予感に絶望したシュテファン・ツヴァイクが、1940年、逃れたリオデジャネイロのホテルで一冊の資料もないままに書き上げた、大ヨーロッパ世界沈没の回想記である。大戦によって徹底的に破壊される前の「世界に覇をとなえた栄光の…