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ポール・ヴェーヌ

ポール・ヴェーヌ 「“私たちの世界”がキリスト教になったとき」(岩波書店) 4

p164 西洋は他の諸文明がなした以上に人道主義、温和さを涵養あるいは奨励したとみなされている。しかしキリストの掟は、封建時代においては、近代人には不可解な暴力への思考と何の困難もなしに結びついていた。ムハンマドの教えも温和を基調としているが…

ポール・ヴェーヌ 「“私たちの世界”がキリスト教になったとき」 (岩波書店) 3

p126 コンスタンティヌスの没後二、三世紀して、ローマ帝国住民の十パーセントだった宗教が万民の慣習宗教になったのは、異教徒迫害によるものでも布教によるものでもない。「公認の宗教権威」 という万人の心を平安に導くものへの順応主義――「みんなと同じ…

ポール・ヴェーヌ 「“私たちの世界”がキリスト教になったとき」(岩波書店) 2

p32‐3 宗教性を、恐怖とか謎とか慰安など心理的な説明に還元してしまうのは、あまりに近視眼的である。宗教は無自覚的な心的狡知などではない。わたしたちは知らず知らずさまざまな慰めの信仰を自分のためにでっち上げるわけではない。 p34 初期キリスト教…

ポール・ヴェーヌ 「“私たちの世界”がキリスト教になったとき」 (岩波書店) 1

四世紀前半、キリスト教の爆発的拡大をみちびいたコンスタンティヌスという皇帝はどんな男であったのか。政治的狡知に長けていた彼は、当時圧倒的だった異教のカウンターバランスとするためにキリスト教を公認したのか。それとも、帝位にある超越者にとって…