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ミシェル・ウェルベック

ミシェル・ウェルベック 『地図と領土』(ちくま文庫)

ちまちました日本の作家には書けない、神を相手にしたことのある民族の子孫にしか書けない大傑作。 地図とは世界を今あるように作った「第一原因」の意図のままにあるところのものだが、領土とは、その「地図=無機質」世界を、意識によって分節・説明するこ…

ミシェル・ウェルベック 『プラットフォーム』(角川書店)

高級?ポルノ小説だ。えげつないセックス描写だけで読者を引っぱっているところがある。 半年前に読んだ『素粒子』はすばらしい作品だった。デカルト、パスカル、ヴァレリー、サルトルなどに短くも鋭く言及しながら圧倒的なストーリー構築力でヨーロッパ文明…

ミシェル・ウェルベック 『服従』(河出書房新社)

2022年のフランス大統領選挙でイスラム政権が誕生するという近未来の政治・文明論小説。第一回投票では極右・ファシストの国民戦線候補が一位、イスラム同胞党が二位になるのだが、決選投票で国民は<ファシストよりはイスラムの方がまだまし>と考えた結果…

ミシェル・ウェルベック 『素粒子』(ちくま文庫)2/2

『素粒子』の二人の主人公ブリュノとミシェルは男たらしの母親から生まれた異父兄弟だが、自分たちの子供はおよそつくりそうにない人間である。ブリュノなどは後半で昔の女が子供を産みたいと言い出すが、その彼女は妊娠してすぐに子宮がんが発見されあっけ…

ミシェル・ウェルベック 『素粒子』(ちくま文庫)1/2

「素粒子」というのは小説のタイトルとして変わっているな、と思った。ブックカバーに印刷された150文字ほどの宣伝文にも主人公の一人は分子生物学者で云々、と書かれているだけだったし、素粒子と分子生物学がどこに交叉する部分を持つのか不思議だった…