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丸山真男

丸山真男 『「文明論の概略」を読む』中(岩波新書)2/2

第11講 徳育の過信と宗教的狂熱について p213-18 宗教的狂信の精神構造 ギゾー『ヨーロッパ文明史』とともに福沢の『文明論之概略』の思想的下敷きとなったバックル『イングランド文明史』のなかで、バックルはフランス、スペインでの宗教裁判、異端審問…

丸山真男 『「文明論の概略」を読む』中(岩波新書)1/2

第8講 歴史を動かすもの 中巻 p49-51 p58-9 福沢は言います。<古より英雄豪傑の士君子、時に遇ふ者、極めてまれなり。・・・・孔子も時に遇はずと云ひ、孟子もまたしかり。道真は筑紫に謫せられ、楠正成は湊川に死し、これらの例は枚挙にいとまあらず。>…

丸山真男 『「文明論の概略」を読む』上(岩波新書)2/3

第3講 西洋文明の進歩とは何か――野蛮と半開 上巻 p104、 106−7 「御殿女中根性」が幅効かせる半文明化社会 福沢は幕末維新期の日本を野蛮期と文明期の中間段階にあるとしています。特色ある考えではないのですが用いられている言い方が興味深い。とくに社…

丸山真男 『「文明論の概略」を読む』上(岩波新書)3/3

第5講 国体・政統・血統―――国体の定義 上巻 p167-8 幕末・維新期は西欧列強の帝国主義政策によって日本の独立が激しく揺さぶられたときでもありました。いわゆる「国体」の維持をめぐる大変な時期です。この「国体」という言葉ほど、日本の近代を通じてお…

丸山真男 『「福沢諭吉・文明論の概略」を読む』上(岩波新書)1/3

名著の30年ぶりの再読。今の政治学者、メディアの論説家は「一党派に与せず」を臆面もなく旗印にする。その結果はもちろんメディア露出度の高い体制を擁護することになる。体制は、たまには失言したりするものの、たいていは耳触りのいい表現で時局を説明…

丸山真男 『開国』(岩波・著作集第八巻)

「絆」と「和」は社会が閉じていることを表すキーワードである 開国とは、国家がいろいろな意味で「閉じた社会」の状態から「開いた社会」の状態に移ることを意味する。そして「国家」はその成員のすべての団体――藩であれ県であれ、会社であれ町内会であれ、…

丸山真男 『福沢諭吉の哲学』(岩波・著作集第三巻)

p129 福沢はまがうかたなき啓蒙の子だった。合理主義に共通する、科学と理性の進歩に対する信仰を持っていた。しかし他方、福沢は、「人における情の力は至極強大にして、理の働きを自由ならしめざる場合の多い」ことにもよく通じており、「されば、かかる…

丸山真男 『福沢における「実学」の転回』(岩波・著作集第三巻)

p117−9 福沢諭吉が「親の仇」のように嫌った江戸以来のアンシャン・レジームの学問では、倫理学が「学中の学」だった。ただそれは自然認識が欠如もしくは希薄だったということではなかった。そうではなくて、自然が倫理価値と離れがたく結びついており、自…

丸山真男 『個人析出のさまざまなパターン』(岩波・著作集第九巻)

社会の近代化または資本主義の高度化にともなって、その社会の個人の心理や行動はどう変化せざるを得ないか―――。このことに対して、簡単な図式を使いながらもハッとするような明解な論証を試みた論文だ。読み始める前は、こんな十把ひとからげ的な、類型的な…

丸山真男 『佐久間象山・幕末における視座の変革』(岩波・著作集第九巻)3/3

「私は、人間の進歩という陳腐な観念を固守するものであることをよろこんで自認する」 本巻(岩波・著作集第九巻)に『日本の近代化と土着』という小論がある。そこで丸山は強い言葉を使って、自分がヨーロッパ近代主義者といわれていることを認めている。「…

丸山真男 『佐久間象山・幕末における視座の変革』(岩波・著作集第九巻)2/3

ヨーロッパ近代文明ははたして今も通用する「普遍的」価値をもつのか はたして丸山真男は、彼の批判者の常用文句である「心底からのヨーロッパ近代主義者」であったのか。次の一節で、佐久間象山に「中国は五千年も昔に、不思議に早く智慧はついたが、その後…

丸山真男 『佐久間象山・幕末における視座の変革』(岩波・著作集第九巻)1/3

政治が「可能性の技術」であることをよく知っていた佐久間象山 p237−8 佐久間象山は自分が仕える松代の真田藩主に対していろいろな上書を提出し、幕末の政治的な状況に対するリアルな認識方法を具申しています。その中で彼は言っています。「日本に対してイ…

丸山真男 「忠誠と反逆」 丸山真男集第八巻(岩波書店)

明治時代の半ばに、維新の精神的気候が変わった p223-50 天皇制の「正統性」が原則的に確立したのは、自由民権運動を強力に鎮圧した土壌の上に、帝国憲法の発布、市町村制の施行、教育勅語の渙発などがあいついで行われた明治二十二、三年以降のことである…

丸山真男 「政事の構造」(丸山真男集 第十二巻 岩波書店)

古代以来「令外の官」が実権を握ってきた日本政治の特殊性 p230-34 大化の改新による「天皇親政」の建前の変質はまず摂関制の登場に現れます。摂政も関白も名前は中国から来ているのですが、それはいずれも天子幼少のときとか病弱のときとかで、あくまで臨…

丸山真男 「原型・古層・執拗低音」(丸山真男集 第十二巻 岩波書店)

p132-3 日本ぐらいいつも最新流行の文化を追い求めて変化を好む国はないという見かたと、日本ほど頑強に自分の生活様式や宗教様式(あるいは非宗教様式)を変えない国民はないという、全く正反対の見かたがあります。 ・・・・このことをキリシタンの渡来と…

丸山真男 「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」(丸山真男集 第十五巻 岩波書店)

p25 私が法学部に入学してからの天皇および天皇制との出会いは、宮沢俊義教授の「憲法」の講義においてだった。その前年に美濃部達吉教授が天皇機関説問題で退官していたので、私は偶然にも少壮・宮沢教授の最良の講義を聴講するという幸運に浴したことにな…

丸山真男 「超国家主義の論理と心理」

p13 ヨーロッパ近代国家は「中性国家」たることにひとつの特色がある。中性国家は真理とか道徳に関して中立的立場をとり、そうした価値判断はもっぱら他の社会的集団(たとえば教会)や個人の良心にゆだねる。国家主権の基礎をかかる価値内容とは無縁な「形…

丸山真男 「歴史意識の古層」±α 3

[なりゆき] 東京裁判の膨大な記録を読む者は、当時の政治権力を構成した宮廷・重臣・軍部・財界・政党等の代表的人物をほとんど網羅する証人喚問と証拠提出によって、日本政治の複雑きわまりない相貌を明らかに知ることができる。 日本帝国主義の辿った結末…

丸山真男 「歴史意識の古層」±α 2

[いきおい] 「いきおい」という大和言葉と対応する漢語はふつう、勢、権勢、威などの語である。しかし「いきおい」にはもう一つ、(我々がふつうに使う用法での)「徳」という意味があった時代があり、日本の価値意識がよく示されている。日本書紀で「天皇の…

丸山真男 「歴史意識の古層」±α 1

[つぎつぎに] よくもあれだけ厚顔無恥にと感心する道路の掘り返しを身近な例として、その経済効率の悪さが指摘されながら、愚劣な公共事業が少しもなくならない。私たちは頭が悪いんです、計画性がないのですと自白しているようなものなのに、公共事業の「つ…