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國分功一郎

國分功一郎 『民主主義を直感するために』(晶文社)

p239・256 沖縄・辺野古周辺で行われているカヌーや漁船の抗議行動に対して、海上保安庁は激しい排除行為をしている。海上保安庁はゴムボートでカヌーに体当たりして転覆させるとかするのだが、そのゴムボートは、「ゴム」とは名ばかりでトラックのタイヤの…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」7/7(朝日出版社)

p322-3 哺乳類の中で人間はかなり早産である。そして出生後に、非常に不安定な生を送る。「不安定」とはここで、環世界が日に日に変化していくことを意味する。形の認識、自他の区別、言語の獲得など、人間の発達はめまぐるしい環世界の変化、新しい環世界…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」6/7(朝日出版社)

p292-3 盲導犬を一人前に育て上げることの難しさはよく知られている。訓練を受けた盲導犬がすべて立派な盲導犬としての役割を果たせるようになるわけではない。なぜ難しいのか? それは、犬が生きる環世界のなかに、犬の利益になるシグナルではなく、盲人の…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」5/7(朝日出版社)

動物と人間の「環世界」 p260-2 すべての生物はそれぞれの「環世界」を生きている。環世界とはその生物種にとっては必要かつ十分な要素が備わった、その生物種だけの宇宙のことである。たとえばダニの環世界は、自分が寄生する哺乳動物の酪酸のにおい、摂氏…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」4/7(朝日出版社)

暇と退屈の経済論・疎外論 p135 非正規雇用の拡大が大きな問題になっている。だが非正規雇用は、単に誰かがズルしているから生み出されたものではない。いかに高品質のケータイでもクルマでも、同じ型である限りすぐに売れなくなるという、現代社会の消費(…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」3/7(朝日出版社)

定住生活と退屈の関係 p79 一万年前に中緯度帯で定住生活が始まるまで、人類はそのほとんどの時間を遊動生活によって過ごしてきた。だが氷河期が終わった一万年前になると、温暖化が進み、中緯度帯が森林化して、遊動生活の中心になる狩猟が困難になった。 …

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」2/7(朝日出版社)

暇と退屈の原理論(パスカルと退屈) p33 パスカルは相当な皮肉屋である。彼には世間をバカにしているところがある。そのパスカルは退屈をこう考えている。 「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないがために起こる。部屋でじ…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」1/7(朝日出版社)

著者は達意の文章を書く37歳の若い哲学者である。ちょうど私たちの子供世代だが、こんなスピノザ学者がいるとはまったく知らなかった。この本には著者が大学院生だったころの「暇と退屈の苦しみ」が本音で書かれてある。あとがきに書かれているように「斜に…