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多田富雄

多田富雄 『免疫の意味論』(青土社)2/2

p209-10 がん細胞は免疫系から逃走する がん細胞に対してT細胞による免疫反応開始の引き金を引くのは決して容易ではない。がんはもともと自己から発生したものである。だからがんに対する免疫反応は、それが簡単には起こることがないように、前提条件が二重…

多田富雄 『免疫の意味論』(青土社)1/2

p196-8 遺伝性風土病がサルジニア島を敵から守った イタリアの孤島サルジニアには、イタリア本土とはあきらかに容貌を異にした人たちが住んでいる。彼らは紀元前7世紀にフェニキア人に滅ぼされ、次いでカルタゴ、ローマ、ビザンチン、スペインなど次々に多…

多田富雄 『寡黙なる巨人』(集英社文庫)

2010年に亡くなった多田富雄氏は01年の5月、左脳動脈の塞栓による脳梗塞に襲われた。右半身の麻痺と嚥下障害、発話障害の重い後遺症が残り、ベッドで寝返りもできなくなった。水や食物を呑みこもうとすれば気管に入ってしまいそうになり、脳に浮かぶ単語はほ…

多田富雄 『生命へのまなざし』(青土社)3/3 vs月尾嘉男(東京大学教授・工学)

スーパーシステム p245−8 月尾 多田先生は、生物とは環境の偶然的な変化に常に適切に対応していくように仕組まれた「スーパーシステム」であると常々おっしゃっておいでですよね。 多田 ええ、偶然性を積極的に取り入れて、それをてこにして動いているシス…

多田富雄 『生命へのまなざし』(青土社)2/3 vs岡田節人(京都大学教授・基礎生物学)

生物の再生・修復能力と免疫、癌遺伝子 p148-52 岡田 トカゲのしっぽを切ると、また生えてくる。人間とえらく違う下等動物だから、いやらしいことをすると、そう思われていますね(笑)。ところが、地球上の生物を見てください。哺乳類ぐらいですよ、手術を…

多田富雄 『生命へのまなざし』(青土社)1/3 vs中村雄二郎(明治大学名誉教授・哲学)

自己の成り立ち、免疫、場、物語といった魅力的なテーマを、立花隆、中村雄二郎、養老孟司、岡田節人、日沼頼夫、木崎さと子、月尾嘉男、河合隼雄、石坂公成といった医学、生理学から生命誌、哲学、歴史学、都市工学まで各分野の超一流の人とじっくりと話し…

多田富雄 『生命をめぐる対話』(ちくま文庫)2/2

p217−9 VS 中村桂子(生命誌研究者 理学博士) 「超システムとゲノムの認識学」 多田 生命を還元論で考えて精密機械と片づければ、ある種の人々はそれでいいのかもしれないけれど、生命現象にはそうじゃない部分があります。昔は、あるレセプター(受容体)…

多田富雄 『生命をめぐる対話』(ちくま文庫)1/2

1990年代に『免疫の意味論』、『生命の意味論』という二冊の名著を書いた世界的免疫学者の対談集。『免疫の意味論』、『生命の意味論』のどちらでも、生命における自己と非自己の境界認識の意味が深く掘り下げられていた。読んだときの感動が今でも残ってい…