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小川洋子

小川洋子 『ことり』(朝日新聞出版)

二、三年前に読んだ『猫を抱いて象と泳ぐ』は、デパートの屋上動物園から下りられなくなった子象や天才チェス棋士の肩に止る白い鳩や、そのような、言葉によって世界を分節することを諦めたものたちの運命が、読み終えた後も数日間にわたって心に浸潤し続け…

小川洋子 『猫を抱いて象と泳ぐ』(文芸春秋)

読み終えて数日経つと、夢のシーンの連続であったような、残酷だが穢されてはいないチェスをめぐる不思議な物語が、読んだ人のなかにもう一度染みわたってくる。 p154 チェスの終盤が近づくと、達者なルークづかいのお転婆だった令嬢の動きが少しずつしとや…