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岩井克人

岩井克人『資本主義を語る』(ちくま学芸文庫)

金貨の価値は金鉱労働者の労働価値に等しい、 とマルクスは本当に信じていたふしがある p149-51 非常に逆説的ですが、マルクスはアダム・スミスよりもはるかに徹底した労働価値論者です。これは、当然、人と人との直接的な関係が人間の本来的な関係であると…

岩井克人 『会社はこれからどうなるのか』(平凡社)

2003年という日本経済のどん底のときに書かれた本である。現役のサラリーマン・サラリーウーマンやこれから就職しようとする学生のために、「会社とは何なのか」、「会社は誰のものか」ということが、非常に切れ味鋭く論旨明快に書かれている。 まえがきにあ…

岩井克人 「二十一世紀の資本主義論」(ちくま学芸文庫) 3

p63−6 基軸通貨とは、すべての国のすべての商品と交換できるまさに「グローバル市場経済の貨幣」である。ドルが基軸通貨であり続けるのも、「ドルは誰もがそれを未来永劫にわたって受け入れてくれる」という脆弱な「予想の無限の連鎖」があるからにほかなら…

岩井克人 「二十一世紀の資本主義論」(ちくま学芸文庫) 2

p22−4 市場経済の中で、人びとは公共の利益を促進しようと意図する必要などない。自分の安全と利得だけを考えればよい。私的な悪は公的な善となる。・・・アダム・スミスの「見えざる手」の理論は、世にある数少ない真の理論である。 ただひとつ、アダム・ス…

岩井克人 「二十一世紀の資本主義論」(ちくま学芸文庫) 1

岩井克人はとても文章の上手な経済学者である。東大での講義は学生に人気があり、専門のマクロ経済学にとどまることなく文明論全体にわたるものだったという。井原西鶴の『世間胸算用』を貨幣論から分析した『西鶴の大晦日』というエッセイがあるが、その読…

岩井克人 「憲法九条および皇室典範改正私案」

●憲法九条については、 日本国民は 一、自らの防衛 二、国連の指揮下にある平和維持活動、三、内外の災害救助、 の三つの目的にその活動を限定した軍隊を保持することを世界に明言する。 ●皇室典範については、一、皇族は男女ともに皇位継承の資格を持つ、 …

岩井克人 「ヴェニスの商人の資本論」 「貨幣論」

[ヴェニスの商人の資本論] p68 あらゆる差異を解消する資本 資本主義の前には、どのような価値体系も孤立し閉鎖されたままではいられない。なぜなら、孤立や閉鎖が意味する独自性や異質性は、すべて資本主義にとってはおいしい「差異」の一形態に過ぎないか…