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村上春樹

村上春樹 『スプートニクの恋人』(講談社文庫)

1999年の作品。『羊をめぐる冒険』(1982年)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年)、『ねじまき鳥クロニクル』(1993年)よりは前の作品であり、この『スプートニクの恋人』のあと『海辺のカフカ』(2002年)や『1Q84』(2009年)が…

村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文芸春秋)2/2

若い男と女が数人ずつ出てくる恋愛小説だから、「嫉妬」ということが何度も語られる。以下は、上の「巡礼」譚とは直接には関係ない箇所だが、36歳の会社員になっている多崎つくるが、同年代の沙羅という女と親密な関係を持ちながら味わう「嫉妬」に似た感…

村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文芸春秋)1/2

奇妙なタイトルの意味 主人公多崎つくるは名古屋の高校時代、男女2人ずつのとても親密な友人を持っていた。その4人の名字には赤、青、黒、白の文字が含まれていた。赤と青は男子生徒で、白と黒は女子生徒である。名前に色がついていないのは多崎だけだった…

村上春樹 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』2/2

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は村上春樹版 カフカの『城』である、という人もいるに違いない。 カフカの『城』には、読み続けることが困難になる 「とりつく島のなさ」 がある。城の役人が城下の人に対して過酷なことをするわけではない…

村上春樹 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』1/2

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は村上春樹が世界的作家となって二作目の長編である。 村上春樹が自分の作品に外国語への翻訳許可を与えたのは『羊をめぐる冒険』が最初だった。それまでの村上は、「音楽、とくにジャズに詳しく、日本の都市…

村上春樹 『ノルウェイの森』(講談社)

一九八七年、刊行の年に読んで以来だ。三九歳のときで、村上春樹は初めてだったと思う。大ベストセラーということで読んだのだろう。再読して、直子という主人公の恋人が(当時は精神分裂症と言われていた)統合失調症で自殺する話だということしか憶えてい…

村上春樹 「羊をめぐる冒険」 (講談社文庫)2/2

p105−6 「僕」と「相棒」の会話・・・この小説全体の「黒幕」について・・・「黒幕」は『1Q84』の柳屋敷の老婦人を男にし、もっと犯罪的右翼にしたものである。 相棒 「黒幕」は一九一三年に北海道で生まれ、小学校を出ると東京に出て転々と職を変え、右翼…

村上春樹 「羊をめぐる冒険」 (講談社文庫)1/2

『羊をめぐる冒険』は、村上春樹が今日的な「世界作家」としての評価を獲得する足がかりを得た記念碑的作品らしい。この小説以降、村上作品は海外でも大部数が売れ始めるのだが、村上春樹はいまも、『羊・・・』以前の作品には翻訳許可を与えていない。それ…

村上春樹 「ねじまき鳥クロニクル」(新潮文庫)2/2

この小説は神話なのだから、ほぼニート状態の「僕」は「運命」に抵抗して「世界」の気に入らないことをいろいろやってしまう。そんなことができる。たとえば枯れ井戸の底にもぐってあれこれ考え事をしたりする。と、考え事をするだけで、「運命」は警告のた…

村上春樹 「ねじまき鳥クロニクル」(新潮文庫)1/2

村上春樹は何冊かしか読んでいない。この『ねじまき鳥クロニクル』はとても面白い話だがなにせ長いし、どこに引っ張っていってくれるのかなと、半分過ぎても予想がつかなかった。ところが三巻本の三冊目に「牛河」という、一度見たら忘れることのない風貌の…

村上春樹 「1Q84」 2

推理小説として読めば、若いころ株式運用に天才を見せる一方で、男遍歴を重ねた柳屋敷の老婦人が物語全体の黒幕だ。教団「さきがけ」を主宰する深田(彼はオウムの林泰男を想わせる)は老婦人の「長い間うまくいっていない」長男だろうし、深田は母親の若い…

村上春樹 「1Q84」 1

数百万部も売れただけに、とてもおもしろかった。難解な文章は一箇所もなく、リピーター読者を悩ませたりしない。熱心な小説読者ではないのでよく分からないが、「大きな物語」とか「ロマン」を作らせたら圧倒的第一人者ではないか。 バカな新聞書評にあった…