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河合隼雄

河合隼雄 『講演集 物語と人間の科学』(岩波書店)

河合隼雄は村上春樹との対談(『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』・新潮文庫)のなかで、村上が 「国際紛争と日本のかかわりをどう考え行けばいいのか、ぼくはまったくうまく説明できないのですよ」と嘆いていたとき、こんなふうに答えていた。 「日本は、…

河合隼雄 『コンプレックス』(岩波新書)

精神分析あるいは臨床心理学の一般向け「古典」。1971年の初版以来、2012年で61刷を重ねている。コンプレックスという言葉は、あるいはこの新書から日本語に定着したのではなかったか。しかも、無意識内に存在し、表層意識の自我の形成に深い影響を与える「…

河合隼雄 『生と死の接点』(岩波現代文庫)2/2

思春期のイニシエーション p272‐3 性器や皮膚に傷をつけられる、髪の毛を引き抜かれる、歯を折られる、話をすることを禁じられる、死んだ人間として扱われる、高い場所から飛び降りることを強制される・・・・・・。これはいじめの描写ではない。臨床心理学…

河合隼雄 『生と死の接点』(岩波現代文庫)1/2

p54−5 心理学でいうライフサイクル、特に成人の発達心理学ということが一般の関心を引くようになったのは、平均寿命が長くなったのと、多くの人が物質的な満足感をそれなりに味わうことが容易になったことが主な理由になっている。 しかしこのことは、現在…

河合隼雄 『影の現象学』(講談社学術文庫)2/2

河合隼雄に支えられている村上春樹? 村上春樹が河合隼雄を尊敬していたことは有名だ。日本人では河合隼雄だけが、登場人物が日常世界と非日常世界を行き来する「物語世界」の必然性を深く理解してくれたと、村上自身が何度も言っている。 本書後半に「影と…

河合隼雄 『影の現象学』(講談社学術文庫)1/2

よほどの単層的な人を除いて、人はみな影の部分を持っている。正と邪、表と裏、白と黒、建前と本性、面と腹・・・・、これらの対語の後半にくる単語はすべてその人や集団の影の部分を指している。 p48 しかしわれわれ人間は、自分が影を持っていることを認…