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米本昌平

米本昌平 『遺伝管理社会』(弘文堂)

ナチズムの異様さを「優生学」の側面から説こうとした本。優生学はこの間まで日本の公衆衛生学にも存在していた。 1989年に初版を読んだときは気づかなかったが、著者はこのテーマを書こうとした人にしてはハナ・アーレントを読んだ形跡がない。p171に…

米本昌平 『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山)4/4

生命は、炭素を含む複雑な分子の、種類が多くなり、濃度が高くなっていけば、 大きな時間の中で必ず生まれる p248 <生命=機械論>に対して、本書は<「細胞内自然」の内部は常温の熱運動をエネルギーの基底とし、全体が熱力学第二法則を一部破る方向にあ…

米本昌平 『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山)3/4

破壊した細胞をすりつぶし、酵素処理し、微小体を分離できても、 体内で常温励起状態にある巨大タンパクの動的システムは解明できない p221-2 統計熱力学の基礎にあるのは、いまだにニュートン主義である。その基盤には、自然は「物質とエネルギー」の二つ…

米本昌平 『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山)2/4

いまの公式生命科学では、タンパク高分子が織りなしている細胞内風景を描写できない p157・199 始原合目的性という問題 有機体の始原合目的性という事実について指摘しておきたい。この事実はいまの生命科学では反論不能である。 仮に、もっとも単純な有機…

米本昌平 『バイオエピステモロジー』(書籍工房早山)1/4

書名の「バイオエピステモロジー」は「認識論としての生命論」とでも言えばいいのだろうか。著者は『遺伝管理社会』、『バイオポリティクス』などのなかで、「生臭い現実政治・学問社会の中での生命関連科学」といったテーマを、歯に衣着せない言葉づかいで…