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花田清輝

花田清輝 『復興期の精神』(講談社文芸文庫)3/3

花田清輝は20世紀日本最大の批評家のひとりだと思う。花田はその途方もない知力によって、小児病的文壇人、厚顔無恥なデマゴーグ、蛸壺にひそむ「専門家」群を笑いとばした。そうした不羈の精神を臆するところなく公言したものにギリシアの喜劇作家アリスト…

花田清輝 『復興期の精神』(講談社文芸文庫)2/3

コペルニクスを語った『天体図』で、花田清輝はヨーロッパのルネサンス人について書きながらじつは「転形期の日本人」のありかた、つまり自分のこれからの闘い方を問うている。 花田清輝は男らしい人だった。ぐずぐずと小理屈をひねくり回し、自分の勉強の足…

花田清輝 『復興期の精神』(講談社文芸文庫)1/3

『復興期の精神』は鍛え抜かれた鋼鉄のような批評家花田清輝の代表作である。昭和21年の飢えと混乱の中に現われたのだが、そのときの花田は毎日が食うや食わずの状態だったようだ。もっとも貧乏は戦時中から続いていて、憲兵隊の検閲下で出版社が恐怖したこ…

花田清輝 『鳥獣戯話』(講談社)2/2

鳥獣戯話の第三章『みみずく大名』は、1549年、フランシスコ・ザヴィエルが日本に漂着して以降、キリスト教がある程度広まったとされたことについて書かれたものだ。イエズス会が設立した学校,病院などの業績,日本国内の出来事などが報告されている『耶蘇…

花田清輝 『鳥獣戯話』(講談社)1/2

ちょっと考えれば誰でもそうだと気づくのだが、「歴史」は西洋でも東洋でも、ある王朝の編纂になる「正史」を中心にした既成神話の集積したものである。中華帝国の正史はすべて前代を滅ぼした後の帝国が自分たちの側から書いたものだし、そのことは支配人民…