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ミラン・クンデラ 「存在の耐えがたい軽さ」

 p314
 なにより軽く、真実なもの=存在の条件としての裏切り   なにより重く、貴重なもの=共感   なにより俗悪(キッチュ)なもの=存在との絶対的同意=すべての人びととの兄弟愛=差異を覆いかくす全体主義の天幕
 タイトルがいい。ロシアの鉄拳と現代の全体主義という「白痴の微笑」への中欧の怒り。叙情は一切なく、登場人物が「生き続けなければならない」世界のさまざまな「条件」がそのまま写し取られる。裏切りと共感と俗悪と「余儀なくされる状況」と・・・・・・。
 p372
 犬は天国から一度も追い出されたことがない。犬は身体と心という二元性については何も知らず、汚れとは何かを知らないからである。アダムが天国で泉をのぞきこんだとき、見えているのが自分だとはまだ知らなかった。天国では人間はまだ人間ではなかったのである。自分に気づいたのはナルシスが最初である。