アクセス数:アクセスカウンター

田中 修 『植物はすごい』(中公新書)

 身近な多くの植物について、酷暑地や厳寒地でも成長できる秘密、さまざまな毒を持って身を守っていること、病気になるのを防ぐ体内機構など、中学高校生などの生物好きが読んだら熱中するに違いない内容が、易しすぎるほどの文章で丁寧に綴られている。

 p130-2

 強い日の当たるところに育つ植物にはいつも紫外線が当たり続けています。わたしたちは紫外線が有害であり、シミやシワ、白内障の原因になることを知っています。ひどい場合には皮膚がんを引き起こすと心配します。ところが植物たちは、太陽の紫外線がガンガンと降り注ぐ中で暮らしています。そんななかで植物たちは日焼けもせずに、きれいな花を咲かせ、実や種をつくります。
 紫外線は人間にも植物にも同じように有害です。紫外線は植物であろうと人間であろうと、生体にあたると活性酸素を発生させます。この活性酸素は、からだの老化を促し、成人病・ガンの引き金になり、病気全体の90%の原因になるというきわめて有毒な物質です。
 紫外線が体にあたると、植物も人間も、この有害な活性酸素が体に発生します。このため自然の中で紫外線にあたりながら生きていくためには、体の中で発生する活性酸素を消去する物質が必要になります。これが「抗酸化物質」と呼ばれるもので、ビタミンCとビタミンEが代表格です。植物たちは自分の身体にあたる紫外線の害を消すために、体内でこれらのビタミンをつくっているのです。そして私たちはそれらのビタミンが植物の身体に含まれていることをよく知っているので、毎日野菜や果物を積極的に食べているということです。
 ウィキペディアによれば、「活性酸素は1 日に細胞あたり約10 億個発生している。これに対しては生体の活性酸素消去能力(抗酸化機能)が働くものの、細胞内のDNAは絶えず損傷しており、平常の生活でもDNA 損傷の数は細胞あたり一日数万から数10 万個になる。しかしながらこのDNA 損傷はすぐに修復されてしまう。」ということだ。)