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フォースター

E.M.フォースター 「ロンゲスト・ジャーニー」(みすず書房)

登場人物全員が実生活の用にはまったく役立たない、男も女も半分狂ったような人間である。第一部を過ぎても、他人に見えた男二人が片親兄弟かもしれないと告げられただけで、できごとは何も起きない。E.M.フォースターはとても上手な文章と皮肉のよく効いた…

E.M.フォースター 「ハワーズ・エンド」吉田健一訳(みすず書房)

p32 マント夫人はすぐに虚脱状態から回復した。彼女は過去に起こったことを歪める能力が非常に発達していた。だから、自分の粗忽が今度の事件で演じた役割のことも、きわめて短い期間に、すっかり忘れてしまえるのだった。 p81 マーガレットは、人生で起こ…

E.M.フォースター 「眺めのいい部屋」(みすず書房)

p53 家柄と立ち居振る舞いと見破られぬ偽善にしか自分の存在理由を見出せないイギリス・ブルジョア婦人。その描写の仕方の好例。「ミス・アランはいつもこのように自分の判断に対して、慈悲深かった。一貫性を欠いた彼女の話には或るかすかなペーソスが漂い…

E・M・フォースター 「天使も踏むを恐れるところ」(みすず書房)

p71 歯医者はやっかいな存在であり、イギリスでもイタリアでも歯医者をどこの階級に入れたらいいか困ってしまう。知的専門職と商人の間をうろうろしている存在なのだ。 p79 イタリアではじつにいろいろなことを心配することができる。郵便配達人はジーノの…