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2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石文明論集 1(岩波文庫)

漱石の「思想」を理解するうえでもっとも重要とされる文明評論。「吾人(われわれ)の幸福は野蛮時代とそう変わりはなさそうである」ことについて、いま日本の誰がこれだけ上等の日本語を操れるだろう。漱石が聴衆を大笑いさせる演説の上手とは知らなかった…

TVから 「右利きと左利き」

旧石器の分析を通じて、古生人類は百万年前から一万年前まで、五十五%が右利き、四十五%が左利きであることが分かっているという。それが一万年前から五千年前の新石器時代になると右利き九十%、左利き十%と、右利きが圧倒的になり現在も変っていない。…

リースマン 「孤独な群集」日本語版への序文

p2 多くの学者や批評家たちは日本人を「他人指向的」と批判的に語る。確信を欠き依存的だということである。しかしそれは、狂信的で排外的で他人のことを一向に気にかけない態度を、日本人は克服しているとも言えるのではないか。 p14 マルクスやウェーバ…

ウィリアム・ジェイムズ 「プラグマティズム」 4

p168 先験的合理主義者にとっては、プラグマティズムが言う「経験によって成就しつつある真理」などは「心理学的な事実」、「思想家めいめいの考え」でしかない。彼らは、経験相にある泥まみれの実例の背後に、より高い真理の相があると考える。机上であれ…

ウィリアム・ジェイムズ 「プラグマティズム」 3

p87 世界の設計者が誰であるかが問題なのではない。その設計が何であるか、世界とは何であるかがはるかに大きい問題なのだ。 世界に生み出されるものが何であろうと、たとえば最近の大噴火や大洪水による人畜の死、家屋の崩壊、船の沈没などすべてが起きる…

ウィリアム・ジェイムズ 「プラグマティズム」 2

p59 もし神学上の諸観念が、ある人の人生にとって価値のあることが事実ならば、その観念はその限りにおいて善であることを、プラグマティズムは認める。なぜならその観念がどれだけ真であるかということは、その人にとって重要な、他の真理との関係に依存し…

ウィリアム・ジェイムズ 「プラグマティズム」 1

p33−34 ある哲学者に対するわれわれの好悪の反応は、その哲学者が要点をかいつまんでゆく感応の正確さに左右される。それが読者に、ジグソーパズルの正しいピースのように、問題にぴったり嵌合する印象を与えられないとき、その哲学者の体系は社会から受け…

ペール・ラーゲルクヴィスト 「バラバ」

ペール・ラーゲルクヴィストは、不勉強のせいで、名前も知らない作家だったが、本屋に平積みされてあったので気が動いて読んでみると、傑作だった。イエス・キリストの磔刑の日は、本来は、本書の主人公である極悪人バラバが処刑されるはずの日であった。そ…