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2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

茂木健一郎 『脳と仮想』(新潮社)1/2

科学はクオリアを、研究対象にしたくてもできなかった p20-5 赤い色の感覚、水の冷たさの感じ、そこはかとない不安、たおやかな予感。私たちの心の中には、数量化することのできない、微妙で切実なクオリアが満ちている。私たちの経験がさまざまなクオリア…

高橋和巳 『憂鬱なる党派』(新潮文庫)2/2

この小説は、『憂鬱なる党派』という題名にふさわしく、読んでいて本当に憂鬱になる。西村という主人公と6、7人の友人たちが登場するが、彼らは全員が京都大学出身の学生運動家だった。そして、アメリカに逃避して心理学者になる青戸とマスメディアに就職…

高橋和巳 『憂鬱なる党派』(新潮文庫)1/2

1965年、著者34歳のときの作。1962年『悲の器』で登場し、63年『散華』、64年『我が心は石にあらず』、65年『邪宗門』と『憂鬱なる党派』を書いた。71年に直腸がんで亡くなるから作家として活動は10年にすぎないが、倒れるまでの創作意…

大岡昇平 『俘虜記』(新潮文庫)2/2

原爆投下の是非に関してブログ筆者はこう考える。1945年7月26日、連合国はポツダム宣言を発し、日本の無条件降伏を求めてきた。昭和天皇がどう扱われるか、つまり国体は護持されるのか、それだけを天皇と軍首脳は悩みぬいた。何度となく開かれた御前…

孫崎 享 『戦後史の正体』(創元社)2/2

p168-9 アメリカは北方領土を解決不能なように放置した 鳩山政権はソ連との国交回復に邁進しました。ここで一番重要になってくる問題が、皆さんよくご存じの北方領土問題です。そこには現在でも一般の日本人がほとんど知らない事実があります。 読者の皆さ…

孫崎 享 『戦後史の正体』(創元社)1/2

著者は外務省でイラン大使、国際情報局長などを経た後、2009年まで防衛大学校教授を務めた人。外務省時代、一貫して対米自主路線を鮮明に打ちだし、圧倒的多数派を占める対米追随派に囲まれて冷飯を食わされるときも長かったようだ。 戦後史の正体というタイ…