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2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

丸山真男 『「文明論の概略」を読む』上(岩波新書)3/3

第5講 国体・政統・血統―――国体の定義 上巻 p167-8 幕末・維新期は西欧列強の帝国主義政策によって日本の独立が激しく揺さぶられたときでもありました。いわゆる「国体」の維持をめぐる大変な時期です。この「国体」という言葉ほど、日本の近代を通じてお…

丸山真男 『「福沢諭吉・文明論の概略」を読む』上(岩波新書)1/3

名著の30年ぶりの再読。今の政治学者、メディアの論説家は「一党派に与せず」を臆面もなく旗印にする。その結果はもちろんメディア露出度の高い体制を擁護することになる。体制は、たまには失言したりするものの、たいていは耳触りのいい表現で時局を説明…

丸山真男 『開国』(岩波・著作集第八巻)

「絆」と「和」は社会が閉じていることを表すキーワードである 開国とは、国家がいろいろな意味で「閉じた社会」の状態から「開いた社会」の状態に移ることを意味する。そして「国家」はその成員のすべての団体――藩であれ県であれ、会社であれ町内会であれ、…

カミュ 『転落』(新潮文庫)

『転落』が出されたのは1956年のこと。「革命か反抗か」というサルトルとの有名な論争の4年後である。この論争で、哲学者でないカミュは、サルトルの切れ味鋭く容赦ない論理の力に完全に打ちのめされた。論争は西欧人特有の「歴史」観をめぐるものだった…

カミュ 『ペスト』(新潮文庫)

学生以来の再読。ペストとはナチズムのことだとして読むと分かりやすい。学生の頃、ハナ・アーレントの本はまったく知らなかったからそのような視点は持つことができなかった。 (アイヒマンのような)ごく陳腐な人間が方法的に組織されたとき未曽有の悪を実…