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2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小谷野 敦 「日本人のための世界史入門」(新潮新書)2/2

この本一冊を通して小谷野氏の言いたいことは 「序言」のサブタイトルに尽きている。「歴史は偶然の連続である」というものだ。 (偶然の連続が歴史なのであって)歴史書は単にあった事実だけを確定すればいい。それ以外はただの感想文であるのだが、事実だ…

小谷野 敦 「日本人のための世界史入門」(新潮新書)1/2

今年二月二○日発行。私が買った四月五日の版で八刷だから、多分いま人気の本である。 「世界史」がたしかに楽しく読める。西洋史と東洋史が、高校の教科書的な事実羅列に終わらず、事実の背後に少しだけ踏み込んでポイントが分かりやすく書いてある。例えば1…

白川 静 「孔子伝」(中公文庫)2/2

p80-1 氏族の生活を左右する重要な農耕儀礼として、古くはさかんに行われたものに雨請いがある。フレーザーの『金枝篇』には、未開社会における請雨儀礼が多くしるされているが、特に王がその犠牲としてささげられる「殺される王」の例が、数多く集められて…

白川 静 「孔子伝」(中公文庫)1/2

約四十五年前、激しい学園紛争のあった立命館大学の教授だった著者が、学生との団交のあった日も夜中まで書き進め、紛争が終焉を迎えた一九七二年に刊行された本である。中国、春秋戦国時代という、わが国の内乱時代とは百倍もスケールを違える動乱時代を生…

片山杜秀 「未完のファシズム」(新潮社)

宮沢賢治と旧軍指導部の意外な関係 資源をほとんど持たない日本において、戦争指導者たちのファナティックな「哲学」はどのようにして形成されていったのか。 それを日蓮宗系の新興宗教との関連という意外な視点から解きほぐそうとした本である。 満州事変は…

内田 樹 「寝ながら学べる構造主義」(文春新書)2/2

レヴィ=ストロース かくしてサルトルは一刀両断にされた p144-150 私たちはみな固有の歴史的状況に「投げ込まれて」います。例えば私は日本人ですので、そのことだけを理由に旧植民地の人から「戦争責任」を追及されることがあります。 「私は知らない、私…

内田 樹 「寝ながら学べる構造主義」(文春新書)1/2

源流の一つはマルクス p25-32 構造主義の考え方が「常識」に登録されたのは一九六○年代のことです。構造主義というのは、ひとことで言うと次のような考え方のことです。 私たちはつねにある時代、ある地域、ある社会集団に属しており、そのことが私たちのも…

内田 樹・名越康文「14歳の子を持つ親たちへ」(新潮新書)

道徳という「フィクション」を作り直そう p24 内田 神戸の「酒鬼薔薇事件」でも佐世保の女子小学生の同級生殺害事件でも、「あれは化け物だ」とか、「誰しも心の中に邪悪なものがあるんだよ」みたいな、単純な性悪説を言ってみてもなんの役にも立たないです…

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・中)3/3

知識人であるユダヤ祭司たちは、怪物や竜が暴れまわる天地創造譚を嫌悪した p536 魔術は、他の古代世界では大きな地位勢力を持っていたが、イスラエルではそうではなかった。イスラエルにもあらゆる魔術師がいたが、指導的なヤァウェ主義サークルのレビびと…