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2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ロバート・ゴダード 『欺きの家』(講談社文庫)

1954年生まれのベストセラー作家ロバート・ゴダードの23作目ということ。この年齢ではじめて知った『リオノーラの肖像』はあのデュ・モーリア『レベッカ』の謎をもうひとすじ深くしたようなゴシック・ロマンだった。 本作『欺きの家』はこれと違ってイギリス…

ロバート・ゴダード 『リオノーラの肖像』(文春文庫)

「ゴシック・ロマンの本場のミステリー小説とはこういうものである」と、作者が誇らしげに胸を張っているかのよう。訳者の言葉をかりれば、「過去形でなく現在形でやり取りされる会話のやり取りに、何か得体のしれない大きな秘密が隠されているといった不気…

デュ・モーリア 『レベッカ』(新潮文庫)

『レベッカ』は高校の文学史の勉強で必ず覚えなければならない小説のタイトルだった。作者ダフネ・デュ・モーリアはその姓からわかるようにもともとはフランスの家系。フランス革命期にイギリスにわたったいわゆる逃亡貴族出身の女性である。 この小説は最初…

池澤夏樹 『氷山の南』(文春文庫)

南極大陸から海へせり出した1億トンの巨大な氷山をオーストラリアまで曳航しようとする「冒険小説」。南極海で氷山を探す探査船の名はシンディバード。アラビアンナイトに出てくる船乗りシンドバッドのアラビア名だ。 読み始めたとき、1億トンの巨大な氷山…

池澤夏樹 『光の指で触れよ』(中公文庫)

2011年の作品。2015年アマゾンで買ったのだが届いたのはまだ初版だった。著者にしては不人気の作品なのだろう。 著者はこの作品で未成年の子供を持つ夫婦の家庭内の役割のあり方という、解決しようのないことというか、保守派の私から見ればそんなことは問題…

宮本常一 『家郷の訓』(岩波文庫)

宮本常一は明治40年に山口県の田舎に生まれ、17歳で大阪に出て、20歳を過ぎてから小学校の教員に採用された人である。その人が民俗学に興味を持ち32歳から日本全国を旅して、当時すでに失われつつあった草莽の民の生活を丹念に拾い上げ、まさに地に…