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2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

莫 言 『赤い高粱』『続 赤い高粱』 (岩波現代文庫)

莫 言の名が世界に知られたのはこの『赤い高粱』によってであるらしい。発表は1986年だが、翌年の同名映画がベルリン映画祭で金熊賞を獲得してから、その原作者としてメディアに注目されるようになったということだ。 2012年のノーベル賞受賞作となった『赤…

カズオ・イシグロ 『浮世の画家』(ハヤカワepi文庫)

語り手でもある主人公・小野益次は、いまは隠退しているが、1945年までは日本中で名の知らない人はいなかった大画家。物語はその小野益次が、戦争が終わってすぐ、長崎の高級住宅地にある故・杉村明の大邸宅を買い取るところから始まる。杉村明というのは、…

内田 樹・平川克己 『東京ファイティングキッズ・リターン』(文春文庫)2/2

日本人が英<会話>を苦手とする構造的理由 p186-92(内田樹) 太平洋戦争で完膚なきまでに打ちのめされた日本人の中には、生きる目的をほとんど見失っていた人たちも多かった。 そこを、「平和憲法」という世界でもっとも倫理性の高い基本法を国民に与え示…

内田 樹・平川克己 『東京ファイティングキッズ・リターン』(文春文庫)1/2

平川克己は内田樹の若いときからの友人。1977年に内田と一緒に翻訳会社を設立し、代表を務めた。いまはラジオカフェという会社をやりながら、経済的側面から見た文明論のような本を書いている。内田や小田嶋隆との共著も多い。本書もその一冊。 歴史事実の生…

養老孟司 『からだを読む』(ちくま新書)

解剖学者・養老孟司が専門家として書いた、口から肛門までの消化管についての「人体構成解説書」。百科全書の「消化管篇」としてだけ読んでも面白いし、楽しいし、身内に癌になった人でもいれば、綜合内科医的な視野の広い知識も得られる。 解剖学では、ヒト…