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2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

バートランド・ラッセル 『西洋哲学史 3 哲学上の自由主義』(みすず書房)

イギリスが「名誉革命」をなしとげた1688年前後の政治思想状況を簡潔にまとめた一章。贅言を用いない文章の内側に、超一級の頭脳に恵まれたバートランド・ラッセル卿らしい皮肉とユーモアが隠されている。 p593-6 17世紀に発達したロマン主義の精神運動は、…

生田耕作 『ダンディズム』ーー栄光と悲惨(中公文庫)

著者の生田耕作教授は非常にダンディなかただった。1924年、料亭の板前長を父として京都・祇園に生まれ、あの南座を遊び場にして育ったという。しかし京都は爆撃こそされなかったが、暮らし全般を覆う軍国主義が「国家=負なるもの」のイメージを繊細な…

セリーヌ 『夜の果てへの旅』(中公文庫)

表があるから裏があるというのがこの世界だと思うのだが、セリーヌはこの途方もなく暗い小説の中で人性と人生の裏面だけを狂ったように描く。およそ小説作品というものの中に、なんらかのポジティブなものを見出したい人は、上下2巻のこの長編を読み通すには…

國分功一郎 『民主主義を直感するために』(晶文社)

p239・256 沖縄・辺野古周辺で行われているカヌーや漁船の抗議行動に対して、海上保安庁は激しい排除行為をしている。海上保安庁はゴムボートでカヌーに体当たりして転覆させるとかするのだが、そのゴムボートは、「ゴム」とは名ばかりでトラックのタイヤの…

佐伯啓思 『さらば、資本主義』(新潮新書)2/2

第八章 アメリカ経済学の傲慢 p157-65 経済学の本格的な研究書でありながら大ベストセラーになった『21世紀の資本』。著者のフランス人経済学者トマ・ピケティは、自国で博士課程を終えた22歳のときアメリカのMITに職を得ます。経済学者としてはめったに得…