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2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

シュテファン・ツヴァイク 『三人の巨匠』(みすず書房)1/2

バルザック、ディケンズ、ドストエフスキーという19世紀の大文豪三人について、その人となりや作品について、それぞれ50~100ページで簡潔にまとめて一冊にしたもの。本としては最後にモンテーニュもおまけとしてついている。 「評伝のツヴァイク」ら…

丸谷才一 『輝く日の宮』(講談社)

『源氏物語』の前半にある『薄雲』の巻で、前の中宮・藤壺は37歳の美しい盛りにあって死の床に就いている。そしてしだいに途切れがちになる意識の中で、かつてあのように自分を慕ってくれた源氏への思いがよみがえる。「あの若い日に、局の御簾や几帳に紛れ…

高橋和巳 『堕落』(新潮文庫)

高橋和巳はつくづくメランコリーの人、鬱の人だと思う。 主人公・青木は第2次大戦中に満州・関東軍の参謀本部に所属していたことがある。そのせいで満州国の総務庁職員や拓務省の参議、清朝の遺臣と親交があった人物たちと交流がある。しかし青木自身は右翼…