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2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

村上春樹 『辺境・近境』(新潮文庫)

ノモンハンの鉄の墓場 p167-8 ぼく(村上)が強くこの戦争に惹かれるのは、この戦争の成り立ちがあまりにも日本人的であったからではないだろうか。 もちろん太平洋戦争の成り立ちや経緯だって、大きな意味合いではどうしようもなく日本人的であるのだが、…

村上春樹 『アフターダーク』(講談社文庫)

場所は大都市の片隅。自室でただ眠り続ける美人の姉。ファミレスで本を読んで夜をやり過ごす妹。ラブホテルで中国人の女を襲うごく普通に見える変質者。何年か前、ヤクザを裏切って背中に焼き印を押され、日本中を逃げ回っているラブホテルの従業員。登場人…

プルースト 『失われた時を求めて 13・14 見出された時』(岩波文庫)13/13

第13巻の4分の1ほどで、読む根気がとうとう尽きてしまった。14巻の本文は全く読まず、吉川教授の簡単な「まえがき」と詳細な「あとがき」を斜め読みした。 「まえがき」によれば、本作の大団円となるゲルマント大公邸における午後のパーティ描写から最終巻は…

★プルースト 『失われた時を求めて12 消え去ったアルベルチーヌ』(岩波文庫)12/13

本篇冒頭で、「私」の「囚われの女」だったアルベルチーヌが出奔してしまう。本篇は600ページを超す長大なものだが、その半分以上が不在となった恋人をめぐる「私」の心中の苦悶の描写にあてられている。縺れ合ってほぐせない大きな漁網か、捻転した小腸…

★プルースト 『失われた時を求めて 11 囚われの女2』(岩波文庫)11/13

「私」は、やっとの思いで手に入れて、いまは自分の家に囲っているアルベルチーヌを、じつは少女時代からゴモラ(男も愛せるレズビアン)ではないかと深く深く疑っている。疑いの間接的な証拠は実際にいくつもあるのだが、これでもかこれでもかと読まされる…