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中井久夫

中井久夫 『分裂病と人類』(東大出版会)

神経症は古代からあったが、分裂病が「発見」されたのは19世紀、産業革命以降である。すくなくとも西欧の「正統精神医学」によって、精神分裂状態が「病気」として存在することがあると認められたのはたかだか19世紀末のことである。しかし筆者によれば、精…

中井久夫 『治療文化論』(岩波現代文庫)

著者中井久夫は'13年の文化功労者に選ばれた、臨床精神医学会でその名を知らぬ人ない人である。中井氏の著作を読むと、「解説」にもある通り、臨床精神医学について中井氏が従来の思考法とはまったく異なるパラダイムを持っていることが明らかになる。 中井…

中井久夫 『隣の病』(ちくま学芸文庫)

同じことが同じときに遠く離れた場所で起こりうる、ということの意味 p20−1 気象学にはテレフェノメノンといわれるものがある。地球を半回りするほどにも隔たった二地点において、まったく別個の二つの事象が同じ動きを示すということである。北米海岸のあ…

中井久夫 『精神科医がものを書くとき』(ちくま学芸文庫)2/2

精神科の病気を診る3つのポイント p169-70 精神健康の目安というのは、詳しく挙げていくと十いくつくらいはあるのですが、大きくは次の三つが大事です。この三つが危なくなってくると、普通の接し方では足りなくて、精神科的なテクニックが必要となってきま…

中井久夫 『精神科医がものを書くとき』(ちくま学芸文庫)1/2

著者は今年2013年の文化功労者に選ばれた臨床精神科医である。「天声人語」に「知の巨人」と紹介されてあった。名前さえまったく知らなかったが、ウィキペディアを見ると 「若いころポール・ヴァレリーの研究者となるか、科学者・医者になるか迷った」とあっ…