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2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

シェイクスピア 『マクベス』(福田恒存訳・新潮文庫)

1606年初演。マクベスは11世紀初めに実在したスコットランドの有力武将。当時、イングランドはフランス・ノルマンディー公・ウィリアムの支援を受けたアングロ・サクソン王朝のエドワード懺悔王が統治していた。シェイクスピア活躍の約500年前の時代である。…

シェイクスピア 『ヘンリー八世』(小田島雄志訳・白水Uブックス)

シェイクスピアの歴史劇の中で『ヘンリー八世』は『ヘンリー四世』、『リチャード三世』に次いで観客の入りがいいが作品らしい。読んでも楽しめる。 1613年に書かれ初演されたとされている。1613年といえば生涯独身を通したあのエリザベス一世の没後10年の年…

ホッブズ 『リヴァイアサン』(岩波文庫)

ホッブズは1588年に生まれ1679年に死んだ。つまり、政治ではエリザベス1世からクロムウェルのピューリタン革命期を経て議会君主制へ、宗教ではローマカトリックから英国国教会へと、国の形が大きく変わろうとしているときに、成年してからのすべて…

[阿部謹也 『中世賤民の宇宙』(ちくま学芸文庫)2/2

p317−8 メルヘンは、「人間に内面が存在しなかった時代」に生まれた 古代、中世ゲルマンの民間伝説に由来するものが多いグリムのメルヘンは、ほとんど例外なしに個人という小宇宙から大宇宙を垣間見たものである。 メルヘンの主人公は基本的にはひとり旅を…

阿部謹也 『中世賤民の宇宙』(ちくま学芸文庫)1/2

P53 抽象的「時間」は中世にはじめて生まれた 水時計、砂時計、火時計は、水が流れ、砂がこぼれ落ち、蝋燭が燃えるという地球上の物理量の変化によって時の経過を測る。この意味で水時計や砂時計や火時計は「地球的時間」の尺度である。これに対し11世紀に発…

[谷崎潤一郎 『少将滋幹の母』(新潮文庫)

これを名作と言わないでどうしようというほどの名作。厖大な史料を踏まえ、古語、漢語をたくさん使いながら平明で読みやすく流れるような叙述は読者に時間を忘れさせる。 中下級貴族などは人とも思わない権勢家左大臣時平、歴史上有名な好色男・平中、滋幹の…