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2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

マルグリット・ユルスナール 『ハドリアヌス帝の回想』(白水社)2/2

詩人・歌人でもある訳者・多田智満子は「解説」でハドリアヌスの一生をこう略述する。 プブリウス・エリウス・ハドリアヌス 76年1月24日生 138年7月10日死 スペイン出身のローマ皇帝。異常な多才の人。軍人・旅行家、かつ有能な行政家。文学・哲学に心を傾け…

マルグリット・ユルスナール 『ハドリアヌス帝の回想』(白水社)1/2

西暦37年に自殺に追い込まれた暴君ネロから半世紀後、ローマ帝国には5賢帝時代という約100年間にわたる穏やかな繁栄の時代があった。いわゆる「パックス・ロマーナ」(ローマの力を背景にした平和)の時代だ。 第2次大戦後の現在の相対的な平和をパック…

アンジェイェフスキ 『灰とダイヤモンド』(岩波文庫)

ナチスドイツが無条件降伏した1945年5月初旬。その数日間にポーランドで、ソ連帰順派と自由独立派がともに正義を語ろうとして希望のないテロと報復を続ける。 ふつうの日本人がポーランドについて知っていることはわずかだ。個人としては、ショパン以外…

伊東光晴 『ガルブレイス』(岩波新書)

2006年に亡くなった大経済学者ガルブレイスは、「いい政治」は経済を一般市民にとって過酷でない方向にリードできる、とずっと考え続けた。 1930年代、ニューディールという実効性のある政策によって社会が大恐慌から立ち直るさまを、経済学の学生・研究生と…

田中史生 『国際交易の古代列島』(角川選書)

古代日本の政治と交易のかかわりを、闊達自在な文章で論旨明解に描ききった歴史書。卑弥呼の時代から平安初期までの膨大な史料を読み込み、かつ多くの研究者の仮説を丁寧に紹介しながら、それらを本書の道筋の強化にたくみに活用している。 他人の学説や自説…