2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ポール・ヴァレリーやステファーヌ・マラルメ、マルグリッド・デュラスの翻訳者として名高い人の駄作である。 六○年〜八○年代に学生だった世代には魅力的な、二十一世紀にはセピア色になってしまったタイトルに引かれて読んでみたが、最初の三十ページで通読…
初版は一八三四年、ナポレオン没落と二月革命のちょうどまん中の時期である。p137ではナポレオンの敗北も言及されている。 『戦争と平和』に三十年以上先立つ。プロットは平板で微笑を誘うところもあるが、それはボヴァリーも同じ。ただバルザックは、フロ…
ボヴァリーくらい読まなくてはと思って本棚の奥から出したら、いつだったのだろう、読んだ形跡を見つける。十九頁「いや沈んだといったほうがいい、やっぱり底のほうになにか残っていますからな。重石のようなものが、ここに、胸の上に。」に傍線がある。二…
p395あたり トルストイは戦闘シーンをまったく描けない。ボロジノの会戦で両陣営の配置図を自分で添えながら、文章ではその大まかな動きさえ伝えることができていない。貴族のサロンでの微妙な会話は、仄めかし、あてこすりをうんざりするほどに連ねながら…
岩波文庫五百ページX六巻。学生のときから、死ぬまでには読まねば、でも、読まないだろうと思ってきた。全巻通読した人は日本に何人いるのか、源氏よりどちらが多いのか。 第一巻 p80 絶対に結婚なんかするんじゃないぞ。君が自分でできることは何もかもや…
植物の種子には、自分を遠くに飛ばすためにグライダーの滑空翼やヘリコプターの回転翼を持ったものが数多くある。その植物は「種子を遠くに飛ばそう」という意志をもっているといわれる。しかしその「意志」はわれわれのような意志ではない、といわれる。 で…
NHKの番組に「いのちドラマチック」というのがある。福岡伸一が出演するのでときどき見る。品種改良を例にとって生物進化を解きほぐす三十分番組だが、先日野生動物の家畜化について一時間の特別編成をしていた。 数頭から十頭前後の野性のキツネを餌付け…
p216 広告それ自身の「商品価値」を、広告主の買値ではなく、顧客のクリック数と結びつけた「アドワーズ」システムというものがある。開発に携わったグーグル社は「頻繁にクリックさせる」こと=一定期間当たりのクリック数だけがその広告の効果であるとい…
p170 (リンク先をとりあえず見てみようとするような)容易に発火するニューロンが頻繁に強化されると、(オリジナルな自説をじっくり展開しようとするような)めったに発火しないニューロンは弱体化し、崩壊を始める。脳は使われなくなったニューロンを、…