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2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

岸田 秀 『ものぐさ精神分析』(中公文庫)7/8

<言語の起源> バラバラの私的幻想から共通要素を抽出し、 共同幻想を仕立てようとするものが言語である p235−7 人間の言語は、一つの共同体内で、あるイメージに対する一つの発声に対して一定の意味を付与するという約束ごとである。その発声とイメージの…

岸田 秀 『ものぐさ精神分析』(中公文庫)6/8

<時間と空間の起源> 竜宮城を去ったのに乙姫を求め、欲望が挫折することを感じたとき 浦島は「時間」に組み込まれた p220−4 人間は本質的に(過ぎ去ってしまった時間にとらわれる)アナクロニズムの存在である。人間はいわゆる固着や退行を起こしうる存在…

岸田 秀 『ものぐさ精神分析』(中公文庫)5/8

<擬人論の復権> ヒステリーや強迫神経症の症状は、 その意味を精神分析者が了解し、患者に意識的に了解させれば、消失する p199−217 少し前の時代までは、近代科学が人間の身体にまでおよんで、人間も物理化学的現象にほかならないということになっていた…

池澤夏樹 『きみが住む星』(文化出版局)

旅行先での二十三枚の美しい風景写真と、それぞれの写真に一通ずつのラブレターを重ねて綴った散文詩集。池澤の多才ぶりがみずみずしく伝わってくる。 空港できみの手を握って別れた後、飛行機に乗った時、 離陸して高く高く上がり、群青の成層圏の空を見た…

リチャード・C・フランシス 『エピジェネティクス』(ダイヤモンド社)3/3

p169 細胞が変質してがん細胞になる過程については、主に二つの見方がある。従来の見方では、がん細胞はニューロンや皮膚細胞などの完全に分化した細胞から生じるとされる。そのような細胞が分化を停止して、幹細胞のような増殖能力を取り戻したのががん細…

リチャード・C・フランシス 『エピジェネティクス』(ダイヤモンド社)2/3

本文 p14 わたしたちを取り巻く環境は、遺伝子の活性度を調節して、わたしたちに影響を及ぼしている。ただし環境は、遺伝子の働きを直接変化させるわけではなく、遺伝子を含む細胞を変化させて、間接的に遺伝子の活性度に影響している。 遺伝子の活性度がコ…

リチャード・C・フランシス 『エピジェネティクス』(ダイヤモンド社)1/3

エピジェネティクスとは「遺伝子によらない遺伝の仕組みを探求する学問」のこと。池田清彦氏が『遺伝子不平等社会』で書いているように、発芽したイネの種子(これは2n個の染色体を持つ普通の体細胞である、n個の生殖細胞ではない)を脱メチル化剤(メチル…

加藤 貴(校注) 『徳川制度』(上)

明治の有名な民権派新聞に『朝野新聞』がある。二人の大物、成島柳北と末広鉄腸がそれぞれ社長・主筆を務めた。本書はこの『朝野新聞』に明治25年から26年まで断続的に掲載された「徳川制度」というコラムなどを岩波文庫3巻にまとめたもの。上巻だけでも司法…