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2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ニコラス・カー 「ネットバカ」 2

p91 十世紀まで、ヨーロッパの書き言葉には単語どうしを分けるスペースがなかった。起源である話し言葉を反映しているからだ。話し言葉には、考えてみれば、単語の間のスペースなどはない。反対に、単語同士をリエゾンでつなげて一語にしてしまうくらいであ…

ニコラス・カー 「ネットバカ」 1

p11 長期的に見れば、われわれの思考や行動に影響を与えるのはメディアの伝える内容よりも、メディア自体である。(マクルーハン) インターネットが図書館に比べて知識検索に絶大な効果を発揮するのは事実である。正しいリンクを使えば、ある仮説の検証や…

ジョン・ダワー 「昭和」 3

p181−2 戦後、アメリカに対する国家主権の従属が軍事問題に限られていたなら、「白人国家の永遠の部下」という日本人の心理的負担はもっと少なかったかもしれない。アメリカは世界の軍事覇権国家なのだから。しかし、キッシンジャーが日本に秘密裏に中国と…

ジョン・ダワー 「昭和」 2

p55 日本でも原爆は研究されていた。しかしそれはいかんともしがたいほど細分化され、人員の配分も不適切で、研究者は個人レベルでの疑心と葛藤に苛まれていた。また軍や国家の上層部でも陸軍と海軍、陸軍参謀本部と前線指揮官、海軍の指揮系統間、統制派と…

ジョン・ダワー 「昭和」 1

p3 太平洋戦争に敗れたとき天皇退位の機会は三度あったが、いずれもマッカーサーによって退けられた(天皇が退位に積極的だったにもかかわらず、という意味ではない)。天皇が戦争の最高指導者として自ら責任を取る形で退位していれば、戦後政治における心…

橋本治 「巡礼」

橋本は小説家として三流である。三流にしてはよく売れている。急なストーリー展開をしなければならないときは作者がしゃしゃり出る。地の文で「時代は深刻さを捨てる方向に向っていた」というようなことを書くという、あまりといえばあまりのやり方で。「深…

加藤周一 「続 羊の歌」

p47 もしすべての考えを外国語で表現するほかないとすれば、そのことはわたしの考えの内容にも影響を与えずにはいないだろう。(ちょうどグーグルのリンク環境で住み慣れるとその機械に似てくるように。世界中の図書文献を恐ろしいスピードで駆け抜けた論文…

加藤周一 「羊の歌」

p118 東大・駒場の寮歌に「栄華の巷低く見て」という有名な一節がある。1930年代末の東京の街は決して栄華の巷ではなかったが、歌の文句の要点は栄華そのものにあったのではなく、そもそも街とそこに住む人々を低く見ることにあった。 駒場の寮では平等な学…

ハナ・アーレント 「人間の条件」 3

p304−8 政治とは、人間関係の網の目を取り結び、すべての布置を変える(言葉を含む)行為のすべてを指す。 p310 ある歴史過程は、ようやくその過程が終わったときのみに明らかにされ、場合によっては参加者全員が死んだあとでしか明らかにされない。少なく…