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2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

司馬遼太郎 『翔ぶがごとく』 8 文春文庫

後半、田原坂などで決定的敗北に至る前の、動乱全体の帰趨を左右する「関ケ原」の三つの戦いが描かれる。1882年2月22日・23日の熊本城攻防戦と25日・26日の「高瀬の会戦」だ。 結局薩摩軍は熊本城を落とせず、かといって戦争全体の行方に影響な…

司馬遼太郎 『翔ぶがごとく』4 文春文庫

p116-120 幕末から明治の草創期、西郷の頭の中には「工業を起こす」という重要な視点が入っていなかった。 多くの面で西郷の師匠であった元藩主、英明な島津斉彬には、このことについての思想と抱負と政治的実績があった。斉彬はイギリスで勃興した産業革命…

司馬遼太郎 『翔ぶが如く』3 文春文庫

西郷隆盛の征韓論の基底には、ロシアの南下による北海道侵略への恐れがあった。ロシアは江戸時代の最末期にしばしば北海道周辺に現れ、艦載砲を撃ったりして威嚇している。 明治維新がなってからは、ロシアは西ヨーロッパでオーストリア、ドイツ、フランスな…

村上春樹 『街とその不確かな壁』 新潮社

今までの村上春樹の中で一番難解な小説。ではあるが、第三部を読み終えると、僕の魂の中で一番ストンと落ち着きどころが納得できた作品。 第三部になって主人公は自分の分身である「影」が実体化した「イエローサブマリンの少年」と邂逅し、少年が夢読みにと…