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2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東 浩紀 「動物化するポストモダン」4/5(講談社)

解離的な人間 p114 二○○○年発売の『Air』という有名なノベルゲームがある。両作とも販売上は成人向けゲームとされているものの、ゲーム本体部分にはポルノ的なイラストをほとんど含まない「秀作」である。 実質的なストーリーが展開する後半部だけでも、プ…

東 浩紀 「動物化するポストモダン」3/5(講談社)

p56 大きな物語の失調とその補填というメカニズムはもう少し広い視野の中にも見ることができる。五○年代までの世界では近代の文化的論理が有力であった。そこでは大きな物語がたえず生産され、教育されていた。その一つの現われが学生の左翼運動だったわけ…

東 浩紀 「動物化するポストモダン」2/5(講談社)

p28 ポストモダンとは、文字通り、「近代の後に来るものを意味する。しかし日本は、明治以降も(近代哲学的な意味では)十分に近代化されていない。それはいままで(近代哲学的な意味では)欠点とされてきた。 しかし世界史の段階が近代からポストモダンへ…

東 浩紀 「動物化するポストモダン」1/5(講談社)

オタクたちの擬似日本 p15 いまから三、四○年前、日米欧などの高度資本主義社会では、「文化とは何か」を決める根本的な条件が変わった。それにしたがって文化ジャンルの中の勢力地図が変貌した。 ロックミュージック、SFX映画、ポップアートが台頭し、…

新聞から 「横尾忠則の書評コラム」

三月二五日(日)の朝日新聞「読書」欄に、著名なイラストレーター横尾忠則氏が、『長寿と性格』(H・S・フリードマン、L・R・マーティン著)という本を批評したコラムがあった。朝日の整理記者は、『ジョギングよりも勤勉性』という見出しをつけていた…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」7/7(朝日出版社)

p322-3 哺乳類の中で人間はかなり早産である。そして出生後に、非常に不安定な生を送る。「不安定」とはここで、環世界が日に日に変化していくことを意味する。形の認識、自他の区別、言語の獲得など、人間の発達はめまぐるしい環世界の変化、新しい環世界…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」6/7(朝日出版社)

p292-3 盲導犬を一人前に育て上げることの難しさはよく知られている。訓練を受けた盲導犬がすべて立派な盲導犬としての役割を果たせるようになるわけではない。なぜ難しいのか? それは、犬が生きる環世界のなかに、犬の利益になるシグナルではなく、盲人の…

國分功一郎 「暇と退屈の倫理学」5/7(朝日出版社)

動物と人間の「環世界」 p260-2 すべての生物はそれぞれの「環世界」を生きている。環世界とはその生物種にとっては必要かつ十分な要素が備わった、その生物種だけの宇宙のことである。たとえばダニの環世界は、自分が寄生する哺乳動物の酪酸のにおい、摂氏…