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2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ハナ・アーレント 「人間の条件」 2

p105 愛や徳を見られ聞かれることから隠れようとするナザレ人イエスの直接の教えにあっては、善行は、それが知られ公になった途端、ただ善のためになされるという善の特殊な性格を失う。だから教会という公的機関がその役割を引き受けたとき、善はもはや善…

ハナ・アーレント 「人間の条件」 1

プロローグに誘われる言葉がある。 (たとえば四次元以上の空間や量子を扱う)科学的な世界認識の「真理」は、数式では証明できるのだが普通の言葉や思想には決して翻訳できない記述を内容としている。科学者は、言論がもはや力を失った世界の中を動いている…

小田実 「大地と星輝く天の子」 2

下巻p41あたり アテナイ市民は、冷徹な「リアリスト」である民主政治家、貴族主義の貧乏貴族からその息子の新世代市民、靴屋の親子、市場ぶらつき老人といった「サルのような民衆」までソクラテスに死刑という石を投げる。ソクラテスは「諸君が有罪と決めた…

小田実 「大地と星輝く天の子」 1

高校二年だったか、国語の教科書に小田実の『何でも見てやろう』があった。田舎者の私を初めて外に連れ出し、歴史という人の営みの総体を考えさせてくれた本である。二千五百年前、世界文明を圧倒的にリードして近代以降の人間の基礎概念を打ち立てたギリシ…

大嶋幸範 雑記 『生体組織と構造』

生命組織が「ある構造をとればある機能が必然的に生まれる」のは養老孟司によれば解剖学者にとっては自明のことである。神経細胞や膵臓細胞はそれぞれ固有の機能を持つためにいまの構造と形になったのではない。まったく逆である。いまの構造と形を持ったか…

ウィリアム・ジェイムズ 「宗教的経験の諸相」 4

p151 優れた行為というものは善い意図、卓越した方法、ふさわしい相手の三条件が相互に適合していなければならない。だから聖者的な行為は、すべての人々が聖徒であるような環境のなかにあってこそ完全な行為でありえようが、相手が鰐や蛇のような人間では…

ウィリアム・ジェイムズ 「宗教的経験の諸相」 3

下巻p13 人間の性格とは知性とは違ったものであって、性格の個人差の原因は主として情緒的刺激に対する感受性の相違、およびそこから生ずる衝動と抑制の相違にある。 p73 人類愛の一分枝である民主主義の要諦は「貧困の崇拝」である。 たしかに、民主主義…

アーサー・ケストラー 「真昼の暗黒」

p129 「われわれは人民の党と呼ばれた。他の連中は人民という水面の変化には一応気がついていたが、それを説明することはできなかった。しかしわれわれは水底まで下りていったのだ。形もない、名前もない、しかし歴史というものの実体を形成している大衆の…