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2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アラン・シリトー 『土曜の夜と日曜の朝』(新潮文庫)

いわゆる悪党(ピカレスク)ロマン。しかし主人公アーサーは悪党ではあるが犯罪者ではない。第二次大戦終わって間もないのに今度はアメリカとソ連が怪しくなる。モスクワに水爆が落とされてなにもかもおさらばになっちゃかなわない。その前にしがない人生を…

ロバート・ゴダード 『千尋の闇』(創元社推理文庫)

2週間前の本ブログでぼくは本作はすでに紹介済みだとしていた。ところがこれは勘違いだった。 本作はイギリス中上流階級の3世代にわたる陰謀と裏切りの複雑きわまりないミステリー。20世紀初頭に南アフリカで起きた重婚詐欺が数年のちの内務大臣(A)の更迭…

ウィングフィールド 『フロスト始末』 創元推理文庫

6作品、9巻にわたって楽しませてくれたウィングフィールドの遺作である。上下巻あわせて約900ページ。これまでの作品と同じように、この『フロスト始末』 にも数々の変態的な犯罪が、読者がその場を目撃しているかのような迫真の描写力で描かれている。…

ロバート・ゴダード 『蒼穹のかなたへ』 文春文庫

これまで僕が読んだロバート・ゴダードは、デュ・モーリア『レベッカ』をさらに不気味にしたような超傑作『リオノーラの肖像』、著名な経済名士家系を翻弄する詐欺師の天才ぶりに読者が唖然としてしまう『欺きの家』、実名で動き回るロイド・ジョージやチャ…