2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧
スターリンの人物像を再検討してみようとした本。晩年には居室や寝室に12個の鍵をつけていたというほど、猜疑心が異常な男だったことは確からしいが、そうしたスターリンの個人的性格と政治的「功績」は別のものであるという観点からこの本は書かれている。 …
いわゆる論壇人の対談本。このごろその方面はとんと不勉強なので笠井潔・白井聡の両氏とも名前くらいしか知らなかった。笠井氏は私と同い年。固い単語を使うリベラルな人で、話す言葉に、大学紛争のときに吹いていた風を体全体で吸っていた感じがある。心の…
養老孟司の「おすすめ本リスト」で激賞されていたイギリスの警察小説シリーズ。作家の四作目にあたる。もともと養老さんの薦める本は、小説だけはぼくの肌にあわないのが多かったのだが、このウィングフィールドのものほど、病院の待合室で読んで、電車の中…
詩人独特の断言口調で語られる本書には、教えられることも多かった。そのひとつに本書末尾の「起源論」がある。古事記に記された初期天皇群の和称の姓名と『魏志倭人伝』に記載された邪馬台国などの官名が一致していると指摘して、古事記編者たちが思い描け…
わたしは恥ずかしながら吉本隆明は今まで読んだことがなかった。20代、何かの雑誌で読んだことはあるかもしれないが、「分かりにくい人だ」と思った記憶があるくらいで、それも二つ三つ、新聞の論壇記事だけを読んでのこころもとない印象だったと思う。 『…
p140−4 もちろん人間にも知覚的な「枠」がいろいろある。たとえば超音波は人間の耳には聞こえない。人間は超音波がどのようなものかを感じることができない。 人間は、超音波というものがあることは、いろいろな方法で証明することができる。機械によって振…
地球上のすべての生物に共通な「客観的」環境など存在しない。――このことをこれほどわかりやすく簡潔に書いた本はないのではなかろうか。著者・日高敏隆氏はコンラート・ローレンツらの動物行動学を日本に根付かせた研究者であり、多くの外国語に堪能であっ…
p152−9 第9章「結婚にまつわる朝鮮の風習」 ソウル近郊の漢江流域の町である婚礼の風景に出会った。結婚、弔い、悪魔祓いには朝鮮らしさがよく表れている。 縁組の最初の段階では一般に仲介者が入る。新郎の父親から新婦の父親に金銭が渡されることはない。…
『朝鮮紀行』は旅行記だから、現代の読者がほとんど知らない朝鮮半島の当時の暮らし、風物などにも、もちろん多くのページが割かれている。当時の朝鮮の宗教事情と結婚にまつわる風習の章が興味深かった。 世界宗教を受け入れなかった朝鮮 p85−92 第4章「朝…