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2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

円地文子訳 『源氏物語』 (新潮社)5/9

巻七 『御法』 源氏が想いを掛けた女君の中では容貌、品性、教養、気遣いなどすべてにおいて他の人に比べるところなかった紫の上。その紫の上が『御法』の帖で亡くなる。 彼女は広大な六条の院で催されるさまざまな年中行事を差配する女主人の地位にはあった…

円地文子訳 『源氏物語』 (新潮社)4/9

巻六 『源氏物語』最大の読みどころのひとつ、『若菜』の上下巻がこの第6巻に入っている。位も官も絶頂を極めた光源氏の運命がここから大きく暗転しはじめる。 源氏の実子である(ことは源氏以外誰も知らない)冷泉帝に位を譲って上皇となった朱雀院が、溺愛…

円地文子訳 『源氏物語』 (新潮社)3/9

巻五 明石の君との間にできた姫君は、将来東宮御所に入内するために源氏と紫の上夫婦の養女となっている。実母である明石の君は文学、絵物語の方面にも才能があるので、当時の継子いじめの代表作だった『住吉物語』などを、表紙に趣向を凝らしたり挿絵を新し…

円地文子訳 『源氏物語』 (新潮社)2/9

巻三 いまや皇太后という頂点に立ち、女性の中では権勢並ぶもののない弘徽殿の女御。源氏の須磨下りは、その弘徽殿の妹・朧月夜に、あろうことか宮中で手をつけたことがたたったものだ。その都落ちを源氏は、罪を犯したことに対する罰ではなく、自ら決めた自…

円地文子訳 『源氏物語』 (新潮社)1/9

巻一 『夕顔』 p236 『夕顔』の最後のページに、紫式部自身が「この物語は本当にあったことを書いたのですよ」と読者に対して念を押す一文がある。当時の読者はその教養に応じて、この一文をあるいは真顔で、あるいは微笑しながら読んだに違いない。 「一体…