アクセス数:アクセスカウンター

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・中)2/3

エジプト大文化圏の辺縁にいたというユダヤ教の「幸運」 p409−14 古代イスラエル王国の政治的状況が憂慮すべき事態となるにつれて、どのような社会的不法行為や過失が神を怒らせたのか、また、どうすればヤァウェをなだめることができるのかが、ひろく一般…

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・中)1/3

嫉妬深く死者崇拝も許さないヤァウェ p305 ヤァウェはエジプトやペルシャといった他の古代宗教の神と異なり、「他の神を嫉妬する神」であった。そして、此岸の出来事にはおおらかだった他の神と異なり、もろもろの世俗事にいちいち干渉する神であった。この…

J.D.サリンジャー 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(村上春樹訳)(白水社)

知能指数はとても高いのだが、(世界に対するあまりの怒りのせいで)アタマがいかれてしまった主人公ホールデン・コールフィールドが全頁にわたってひたすら喋りまくる小説である。自分が今はまり込みつつある「世界からの落下」について、精神病院の診察室…

奥泉 光 「虫樹音楽集」(集英社)

毎日新聞年末恒例の「2012年の3冊」という、十人ほどの書評家が各自で選んだ「自分にとっての今年のベスト3冊」のうちの一冊。まず『虫樹音楽集』のタイトルが異様だった。読み方さえ分からなかった。虫と木と音楽がどう結びつくのか・・・・・奥泉 光という…

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・上)3/3

ヤァウェの方から言い出した「個人的約束」としての恩寵 p212 イスラエルとは、明白な伝承に従えば、氏族連合(ブント)の戦争神であるヤァウェとの間に結ばれ、ヤァウェの指導下に維持された軍事連合の名である。一つの部族を示す名では決してない。 p224…

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・上)2/3

ヤコブの時代、妻を妹と偽って王に献上することは「悪」ではなかった p126−7 この時代の家畜飼育部族は、ベドゥインにおいて典型的であるように、非常に好戦的だった。伝承によれば、ベドゥインのカリスマによって召集された軍は二回にわたって選別される。…

マックス・ウェーバー 「古代ユダヤ教」(岩波文庫・上)1/3

訳者(内田芳明)まえがき 賤民宗教のユダヤ教が世界宗教に発展したのはなぜか 近代西洋の文化形成の根底にはウェーバーの言う「合理的(禁欲的)実践的生活態度」があるが、この「合理的日常倫理」への道を世界史上最初に踏み出したのが、ほかならぬ古代ユ…

福岡伸一 「もう牛を食べても安心か」(文春新書)2/2

臓器移植という蛮行 p103 生命の連鎖は食物由来情報の絶え間ない解体とその再構成の流れによる平衡状態である、という考え方をさらに敷衍していくと、臓器移植という考え方は生物学的には非常な蛮行であることになる。なぜなら、臓器移植とは別の人間の肉体…