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2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

福岡伸一 「もう牛を食べても安心か」(文春新書)1/2

私たちはなぜ食べ続けるのか p61-9 私たちはふつう、肉体というものを、外界と隔てられた「個物としての実体」として感じている。しかし、ルドルフ・シェーンハイマーが明らかにしてからまだ75年しか経っていないが、体内のたんぱく質は本当はわずか数日…

赤坂真理 「東京プリズン」(河出書房新社)

敗戦が最初からほぼ確実だったにもかかわらず突入した太平洋戦争に関連させて、日本人の、日本国家のアイデンティティはどういうものなのかを問うている。 ただ小説としての「物語」性がとても難解なのが困る。時制が頻繁に入れ替わり、「私」が話していると…

木村資生(もとお) 「生物進化を考える」(岩波新書)

最初の数章はともかく、かんどころの集団遺伝学や進化中立説になると統計学の数式がたくさん出てきて、とても手に負えなかった。よく理解できたのは最終章の「進化遺伝学的世界観」だけ。 p270-2 血友病とか白子の遺伝子突然変異率は、一遺伝子座あたり一○…

内田 樹 「先生はえらい」(ちくまプリマー新書)

p101-3 コミュニケーションは「交易」と似ています。というか、ほとんど一緒です。コミュニケーションというのは、要するに、何かと何かを取り替えることです。そして交易の場合は、交換する側の両方が、相手側の差し出すものの意味が自分にとって未知であ…

新聞から 「青田買いで損しているのは企業自身である」

二月七日の毎日新聞に、大学生の青田買い廃止を強く訴える大きなコラムが載っていた。寄稿者はライフネット生命保険社長の出口治明という方である。久しぶりに納得する新聞コラムだった。コラム後半の、出口氏の主張の要点だけを抜粋する。抜粋後の文章を整…

内田 樹 小田島隆 平川克美 町山智浩 「9条どうでしょう」(ちくま文庫)2/2

小田島隆 新しい国家の条件 p164-7 実際の話、日本国憲法における「日本」が、主権国家の体をなしていないというのは、ほぼその通りだ。が、そもそも「主権国家」が十九世紀的な概念であることに思い至るなら、二十世紀の半ばに出発した人工的な国家である…

内田 樹 小田島隆 平川克美 町山智浩 「9条どうでしょう」(ちくま文庫)1/2

内田 樹・小田島隆・平川克美・町山智浩の「お友だち」四人が、憲法九条の改正問題について、対談ではなく、各人一人ひとりが思い思いに所論を述べたという、一風変わった構成の本である。(町山智浩は、見るべきものがなかったので割愛した。) 内田 「憲法…

小川洋子 『ことり』(朝日新聞出版)

二、三年前に読んだ『猫を抱いて象と泳ぐ』は、デパートの屋上動物園から下りられなくなった子象や天才チェス棋士の肩に止る白い鳩や、そのような、言葉によって世界を分節することを諦めたものたちの運命が、読み終えた後も数日間にわたって心に浸潤し続け…