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2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『七つの夜』(野谷 文昭訳)(岩波文庫)

千一夜物語とは、この世の物語には果てがない、という意味。 p82-3 『千一夜物語』がはじめてヨーロッパ語に翻訳されたことは、ヨーロッパのあらゆる文学にとって、最大のできごとだった。当時、18世紀初頭のフランス文学は、自分たちの修辞法が東洋の侵入…

アゴタ・クリストフ 『悪童日記』(ハヤカワepi文庫)

アゴタ・クリストフは1935年生まれ、ハンガリー出身の女性作家。生活上の苦労をいろいろしたあとスイスに移り住み、、大人になってから覚えたフランス語で作品を書いている。 この小説は、同じ文庫の巻末広告で偶然に知った。1991年に日本語訳が出たとき、「…

アガサ・クリスティ 『春にして君を離れ』(ハヤカワ文庫)

鈍感で自己満足が強いとされ、揶揄と冷笑のネタになりやすいイギリス中流婦人。その、滑稽だが笑ってばかりいられない認識のあり方をめぐる切ない話だ。 ディケンズ『大いなる遺産』には、自分の生家と嫁ぎ先の系図を特別に装丁した本を持ち、毎日それを庭の…

宮崎市定 『中国史・下』(岩波文庫)2/2

第三篇 近世史 3.元 4.明 広い中国で反乱を起こすには、大運河を動き回る運送業者の情報網が欠かせなかった P164−5 元の末期、揚子江以南に蜂起した群雄は、後に明の太祖となる朱元璋もその一人だが、ほとんどが当時国家専売だった塩の密売業者である。…

宮崎市定 『中国史』(岩波文庫)1/2

歴史学に多少興味がある人なら一週間程度で通読できるように書かれた中国史の概説書。古代から最近世までが平易な文章で論旨明解に書かれている。 いわゆる京都学派の中心にいた著者は冒頭の総論で「歴史は客観的な学問であるから、誰が書いても同じ結果にな…