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2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

イザベラ・バード 『朝鮮紀行』(講談社学術文庫)1/3

イザベラ・バードはイギリス北部、ヨークシャー出身の女性旅行家、紀行作家である。1878年頃には日本の関東・東北・北海道を旅して名高い『日本紀行』(講談社学術文庫上下2巻)を著した。東京から青森までの民衆の暮らしの紹介も興味深かったが、特に北海道…

ウィングフィールド 『フロスト日和』(創元推理文庫)

『クリスマスのフロスト』につづくウィングフィールドの、いわゆるモジュラー型警察小説の二作目。『クリスマスのフロスト』以上の傑作だ。 郊外の深い森の中の連続婦女暴行事件、公衆便所に浮かんだヤク中浮浪者の死体、轢き逃げされた貧しい老人、轢き逃げ…

コンラート・ローレンツ 『人 イヌにあう』(ハヤカワ文庫NF)

コンラート・ローレンツは、自分が飼っているカラスを肩に乗せて、目ヤニなどを取らせても目をつつかれる恐怖はまったく感じなかっという、あまりないタイプのノーベル賞動物学者である。自分という人間が動物の心に鏡にどう映っているかを正確に感じ取り、…

オリヴァー・サックス 『火星の人類学者』(ハヤカワ文庫NF)2/2

本書のタイトルがとられている「火星の人類学者」とは、自閉症でありながら動物行動学を学んで博士号を取り、コロラド州立大学で教えている女性・テンプル・グランディンの話である。彼女は自閉症者として、人の心や見方に対する共感が不得意だ。しかし知能…

大嶋幸範 朝日新聞の醜聞

今回の朝日の<従軍慰安婦 偽報道>はひどいものだ。文芸春秋10月号のどこかの記事によれば、いま朝日新聞についてはこんな狂句がついて回っているという。「アカが書き ヤクザが売って バカが読む」・・・昔からある「新聞は インテリ書いて ヤクザ売り」よ…

オリヴァー・サックス 『火星の人類学者』(ハヤカワ文庫NF)1/2

作者オリヴァー・サックスは、大ヒットした映画『レナードの朝』の原作を書いたコロンビア大学の神経学・精神医学教授。映画では彼しかできないだろうというロバート・デ・ニーロの演技力に脱帽した。脳の小さな部位を病むということの、一般人には想像もつ…

リチャード・ファインマン 『ご冗談でしょう ファインマンさん』(岩波現代文庫)2/2

リチャード・ファインマンは、トルーマンと軍部が主導しオッペンハイマーが指揮した、ロスアラモスでのマンハッタン計画に(初期のうちは下っ端の科学者として)直接参画した人である。上巻後半部の「下っ端から見たロスアラモス」の章にそのことが書かれて…

リチャード・ファインマン 『ご冗談でしょう ファインマンさん』(岩波現代文庫)1/2

1965年量子電磁力学の発展に大きく寄与したということで、朝永振一郎らとともにノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの自伝。この本は1986年に日本語訳の出る前にドイツ、フランス、韓国でも出版されたが、いずれも売行きは良くなかったらし…