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2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

柄谷行人 『日本近代文学の起源』(岩波現代文庫)

「自意識」というものが日本近代文学の中でいつ現れたのかを知りたくて読んだ。「脱構築」や「エクリチュール」や「シニフィエ」や「シニフィアン」など、前世紀の終わりごろひたすら有難かったが評判は極めて良くなかった単語が何度か出てくる。しかしたと…

高橋源一郎 『ニッポンの小説』

小説って何だろう、小説を書くとはどういうことだろうか、ということを、本音の言葉で、500ページもダラダラと書き連ねた、よく分からない本。日本語口語文章が明治20-30年ごろに生まれたいきさつだけを、分かりやすく教えてもらった。 p33-5 二葉亭四迷…

内田 樹 『おじさん的思考』(角川文庫)

「内面」と近代文学 p201-3 文学史の教えるところでは、「内面」というのは明治文学の輸入品であり、それ以前の日本人の手持ちの概念に「内面」などというものは存在しなかった。 高橋源一郎(や柄谷行人も)が言っていることだが、たとえば次の芭蕉の紀行…

福岡伸一 『遺伝子はダメなあなたを愛してる』(朝日新聞出版)2/2

生物とはすべてのパーツが動的な平衡状態にあるもののこと P151−2 分解不可能 蜂の巣は六角形の規則正しいパターンをしています。合理的な設計に基づいて設計されているように見えます。が、そうではありません。よく見るとどの六角形もどこかいびつで、わず…

福岡伸一 『遺伝子はダメなあなたを愛してる』(朝日新聞出版)1/2

外来コラーゲンが体内に取り入れられる確率は、砂漠に大雨を求めるようなもの P20−3 コラーゲン コラーゲンはタンパク質です。タンパク質は生存のための必須成分です。が、人間は自分に必要なたんたんぱく質をすべて自ら作り出すことができます。というか、…

フィリップ・ボール 『かたち』(早川書房)3/3

生物の「かたち」の多様性は、同じ語彙――生物なら化学物質――を与えられても全く異なる文学が出来上がることに似ている。 p225−6 あのラドヤード・キップリングによれば、シマウマのシマ模様は、実はカモフラージュとして「有用」で、サバンナの中で丈の高い…

フィリップ・ボール 『かたち』(早川書房)2/3

生命現象とは「化学物質の絶え間ない離散集合」のことである。 p159 当然だが、生命はすべて究極的には分子の相互作用から生まれている。その意味で、化学作用は生物発生の根っこにあるものだ。しかし、ネオダーウィニズム――生物のミクロとマクロが混ざり合…

フィリップ・ボール 『かたち』(早川書房)1/3

一つの球形の有精卵から、アリやクラゲやネズミやクジラやヒトの、まったく違う「かたち」はどうして生まれるのか。「どうして」とは、「どのようにして」と「なぜ」という二つの意味においてである。 p27 昔の自然哲学者が自然の中に複雑性を見出したとき…

福岡伸一 『せいめいのはなし』(新潮社)2/2

川上弘美さんと――細胞のコミュニケーション不調ががん発生につながる p71−3 福岡 動物の細胞が正常な組織に分化していくかどうか、その重要なカギを握っているのは発生当初のES細胞同士のコミュニケーションなんです。たとえば細胞同士のコミュニケーショ…