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2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

福岡伸一 「動的平衡2」(木楽社)2/2

p208-12 ヒトとチンパンジーの違い ヒトとチンパンジーのゲノムを比較すると九八%以上が共通であり、ほとんど差がない。では、残りの二%の中に、ヒトとチンパンジーを分ける特別の遺伝子があるのだろうか。 おそらくそうではない。特別の遺伝子の存在など…

福岡伸一 「動的平衡2」(木楽社)1/2

遺伝はほんとうに遺伝子だけの仕業か? p51-5 遺伝現象について、最近、エピジェネティクスという考え方が出てきている。エピは「外側」、ジェネティクスは「遺伝子の」、つまり、「遺伝子の外側で起きていること」という意味だ。簡単にいえば 「遺伝子とい…

丸山真男 「忠誠と反逆」 丸山真男集第八巻(岩波書店)

明治時代の半ばに、維新の精神的気候が変わった p223-50 天皇制の「正統性」が原則的に確立したのは、自由民権運動を強力に鎮圧した土壌の上に、帝国憲法の発布、市町村制の施行、教育勅語の渙発などがあいついで行われた明治二十二、三年以降のことである…

丸山真男 「政事の構造」(丸山真男集 第十二巻 岩波書店)

古代以来「令外の官」が実権を握ってきた日本政治の特殊性 p230-34 大化の改新による「天皇親政」の建前の変質はまず摂関制の登場に現れます。摂政も関白も名前は中国から来ているのですが、それはいずれも天子幼少のときとか病弱のときとかで、あくまで臨…

丸山真男 「原型・古層・執拗低音」(丸山真男集 第十二巻 岩波書店)

p132-3 日本ぐらいいつも最新流行の文化を追い求めて変化を好む国はないという見かたと、日本ほど頑強に自分の生活様式や宗教様式(あるいは非宗教様式)を変えない国民はないという、全く正反対の見かたがあります。 ・・・・このことをキリシタンの渡来と…

丸山真男 「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」(丸山真男集 第十五巻 岩波書店)

p25 私が法学部に入学してからの天皇および天皇制との出会いは、宮沢俊義教授の「憲法」の講義においてだった。その前年に美濃部達吉教授が天皇機関説問題で退官していたので、私は偶然にも少壮・宮沢教授の最良の講義を聴講するという幸運に浴したことにな…

内田 樹 「期間限定の思想」(角川文庫)

邪悪なものが存在する p60−2 私たちの精神は 「意味がない」 ことに耐えられない。私たちの精神は、進化のいつかの時点で、「自分」のことを考えるようになり、「自分」と「世界」の関係性に気づいた結果、 「世界に意味がない」 ことに耐えられないように…

内田 樹 「映画の構造分析」(文春文庫)

『エイリアン』を読む p59 この映画を私は歴史的な傑作と評価しています。 それはこの映画が、成功した最初のフェミニズム映画として実に巧妙に構造化されているからです。主人公リプリー(シガニー・ウィーバー)は、白馬の王子様の救援を待たずに自力でエ…