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2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

池澤夏樹 『静かな大地』(朝日文庫)

日本の中世以来、アイヌは北へ北へと追いやられた。江戸時代には、アイヌは松前藩という北海道での産物徴収権だけを持つ不思議な藩に収奪しつくされ、飢餓と貧困の淵に追いやられていた。 明治になると、黒田清隆が北海道開拓使となって以来、事態はいっそう…

宮崎市定 『西アジア遊記』(中公文庫)2/2

十字軍はアラブの高度文明をねたんだローマ法王の国家的テロである p220-1 イスラムの諸帝国は、いかにイスラム教を信心する念が深かったとはいえ、他宗教に対する態度は後世史家の指摘するごとく熱狂的ではなく、むげに他宗教を迫害する行動には出なかった…

宮崎市定 『西アジア遊記』(中公文庫)1/2

オスマントルコでは、白人の地位は黒人とあまり違わなかった p41 トルコ共和国 オスマントルコの近衛兵は主としてバルカン地方の白人傭兵で組織していた。ちょっと考えると、ヨーロッパの白人が甘んじてトルコ王室の傭兵となって、これに忠義を尽くしたのは…

谷崎潤一郎 『細雪』(角川文庫)2/2

幸子の夫・貞之助も、妻と同じような愚痴と嘆きと恨みと疑いがいっしょになって頭の中に空転する男である。貞之助のモデルは谷崎自身だったから、谷崎のどっちつかずな女性的性格は相当なものだったのではないか。容易に物事を決めつけない、優しいといえば…

谷崎潤一郎 『細雪』(角川文庫)1/2

後期の長編。次はどうなるという読み物としての楽しみもふんだんに盛り込まれて、大文豪がさすがの力を見せつける。なんど映画化されたことか。 大阪船場じゅうに名を馳せた蒔岡家の美人四姉妹。その中の三女・雪子のいくつかの見合い話を中心にして、20世紀…