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宮部みゆき 『我らが隣人の犯罪』(文春文庫)

 短編集。表題作は『オール読物』推理小説新人賞受賞作。

 父親以外の男性から精子を提供されて生まれた少年が物語を支えている。タウンハウスの隣家に、散歩に行けないストレスでわめきまくるチンを飼い、脱税をしまくっている夫婦がいるのだが、少年とその叔父が詭計をめぐらせてチンを閉塞状態から解放する。だけでなく、脱税夫婦がチンの首輪の中に隠していたダイヤモンドの粒を発見し、夫婦はあえなく隣家から逃げ出す。

 このほか『祝・殺人』も企業間の競争、サラリーマン同士の怨嗟による殺人事件をシャープに謎解きしていて、読ませる。